公開日 2022年01月05日(Wed)
1.朝日に映える桜島 学びの窓に仰ぎつつ 真理をめざす今日もまた 生命に深くこだまして 明和よ自主の鐘は鳴る | 2.山脈あおく 海あおく 南風ひかる丘の上 心を磨き 身を鍛え 生命も清く触れあって 明和よ愛の花かおる | 3.錦江湾の空はるか 白雲絶えず湧くところ 希望のつばさたくましく 生命のかぎりはばたいて 明和よ明日の夢を呼ぶ |
当校HPによると、明和中学校は、昭和51(1976)年に、城西中学校から分離して創設されました。61(1986)年には武岡中学校が分離します。分離直前は総生徒数2000名以上と、日本でも最大規模だったそうです。校歌制定年は不明です。作詞は蓑手重則、作曲は藤島昌壽(まさひさ)です。蓑手氏については、城西中学校の所で触れました。
← 作曲担当の藤島昌壽氏です。
藤島氏について詳しくは分かりませんが、昭和10(1935)年に生まれ、令和2(2020)年に亡くなりました。鹿児島出身の作曲家です。鹿児島女子高では多くの合唱曲を作られたそうです。平成22(2010)年には日置市市民歌を作曲されています。 『我が人生に悔いはなかりき-蓑手重則・瑛子追悼文集-』「校歌に寄せて-校歌集」によると、当校の校歌作成の事情が分かります。蓑手氏は鹿大で国文学を講じ、小中高校の国語教育を指導していた関係で、各所から依頼され校歌を制作されたとのことです。当校についても当時の南郷校長の委嘱によるとのことです。校歌で「生命」という言葉を反復強調しているのは、「小学生の頃から両親の手伝いをしながらいろいろな作物や家畜を育てて、その生命の神秘さや尊厳さを痛切に体験していたから」ということです。校歌には1番「生命に深くこだまして」、2番「生命も清く触れあって」、3番「生命のかぎりはばたいて」とあります。また1番「自主」、2番「協力」、3番「希望」を主題としており、「これらの精神は生徒ひとりひとりの具体的な生命とこだましふれあい高まらなければ正しくは生かされません」とのことです。
1番の「自主」について。学校教育は生徒ひとりひとりの能力や性格に即して自主的な協力的な解決的な学習活動を展開して、生徒の主体的な学習態度を育成するところであり、そうでなければ生命と深くこだまする人間を育成することはできないでしょう。
2番の「協力」について。人間は本来家庭や社会を構成して、相互に仲よく話し合い助け合って生きていかなければならない。氏は昭和26(1951)年鹿大代用附属の伊敷中学校主事として、研究主題「自発学習」をかかげ、男女仲よく話し合い助け合う生活態度を育成するなど3点を示しました。そこで男女同数の自然グループを編成し、学習活動を行わせたそうです。2番に「生命も清く触れあって明和よ愛の花かおる」とあるように、男女生徒が仲よく触れあうことで、学校教育の民主化が浸透していくと考えていたようです。本稿はここで終わっており未完のようです。
さて改めて歌詞について見てみます。今まで触れたように蓑手氏は県内最多8中の校歌を作詞しています。その共通するところは、自主の鐘、友愛の花、希望の翼です。桜島と錦江湾の定番の景観も詠み込んでいます。