校歌の研究 その37 ~西陵中学校

公開日 2022年01月10日(Mon)

西陵1

西陵2

1.みどりの庭に陽が落ちて 東に映える桜島 友よ学ぼうこの丘で 自律のしらべ高らかに 真理の扉を開くのだ ああ西陵中学われら 2.理想の海へとこしえに 流れて清き田上川 友よ磨こうひとすじに 豊かな心むすびあい かがやく学園創るのだ ああ西陵中学われら 3.歴史の歩みうるわしく 文化のかおるふるさとで 友よ語ろうわが豊富 試練を超えてたくましく 世紀のあしたへ巣立つのだ ああ西陵中学われら

 西陵中学校は、昭和59(1984)年に武中学校から分離して、鹿児島市立西陵中学校として創設されました。校歌制定は翌年の60年です。作詞は内与詩守、作曲は兼廣晨史です。
 作詞担当の内氏について。詳しくは不明でが、県内市民歌等を担当していて、枕崎市民歌、大崎音頭、ふるさと鹿屋音頭、松元お茶音頭、与論町町民歌、鹿屋体育大学学生歌、刈谷市制30周年記念作品「みどりの風に」、その他どういう縁なのか、HOUND DOG の「銀河のささやき」や島倉千代子「おじいさんおばあさんありがとう」の作詞も担当されているようです。
 兼廣氏について。『鹿児島作曲協会創立30周年記念誌』によると、昭和46(1971)年に郡山脩、野崎哲、藤島昌壽(明和中校歌作曲)らと共に、作曲研究グループを結成し、48年に作曲研究会に改称会員20人で発足(代表理事郡山脩)。52年鹿児島作曲協会と改称し現在に至ります。51年郡山氏急逝のため、兼廣氏が引き継ぎ、57年に会長となったそうです。同協会はNPO法人でコンクール等の企画運営、作曲指導、音楽を通じての青少年の健全育成活動等を行うことを目的とする団体です。事業所は姶良市加治木町。兼廣氏は、県内小中校の校歌作曲も担当されています。皇徳寺中、立神中(枕崎市)、西陵小、西原台小(鹿屋市)、武岡音頭(武岡台校区)等です。

 さて歌詞について。1番で「桜島」を詠んでいます。「丘」とあるのは、当校HPに「標高100mの高台にありゆるやかな丘陵地帯」とあり、学校所在地のことを指しています。2番には田上川を詠み、3番には「歴史の歩みうるわしく文化のかおるふるさとで」と地域の歴史環境に触れています。具体的には出てきていませんが、近くに「西郷南州野屋敷の跡」があり、HPに「ここはその昔、西郷隆盛が、愛犬を連れて猟を楽しんだゆかりの地」とあるので、このことを指しているかと思います。ちなみに西陵なのに周辺の団地を、西郷団地と呼ぶのはこのためです。

西陵中地図

 この図を見ると、中学校密集地域で、団地と中学校区の関係がよく分かります。西陵中校区は、田上川(下流域は新川)と脇田川に挟まれた高台の丘陵地域だと分かります。